空売りに関する留意事項について
有価証券の空売りは、証券市場における価格の変動を安定化するため有用な機能を発揮することができるとされていますが、一方で、価格の変動(下落)を不当に激化し、場合によっては、意図的な値崩れをもたらすことも懸念されています。そのため、金融商品取引法162条などにおいて、予防的な観点から空売りに対しての規制が行われています。
空売りとは
「空売り」とは、①有価証券を有しないでする売付け、②有価証券を借り入れてする売付け、③有している有価証券の売付け後(借り入れているものを除く)に遅滞なく当該有価証券を提供することが明らかでない場合の売付けをいいます。
※信用取引における新規の売建ては、上記②の「空売り」に該当します。
売付けの際に株の手当てがなされていない「空売り」は禁止されています。
空売り規制(明示・確認義務と価格制限)
空売り規制の内容は、大別すると、「明示・確認義務」と「価格制限」があります。なお、この2つの規制には適用除外となっているものがあり、内閣府令(「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」)によって、具体的に規定されています。
明示・確認義務
空売りか否かの明示につき、売付けを行うに際し取引所等に対して行うことが求められます。そのため、証券会社側では、お客様(委託者)のご注文の受託に際し、空売りか否かの確認を行います。
価格制限
当日基準価格から、10%以上下落した銘柄(以下、トリガー抵触銘柄)については、取引時間中にトリガーに抵触した時点から、翌営業日の取引終了時点まで、空売りをする「直近の公表価格以下」での空売りが禁止されています。ただし、当該公表価格がその直近に公表した価格を上回る場合、当該公表価格での空売りについては、この限りではありません。
空売り価格規制トリガー抵触銘柄に関する情報-銘柄一覧公表- (東京証券取引所)
※ 当社では、信用取引以外の空売りを行うことはできません。
信用取引の空売りにかかる価格制限について
お客様が信用取引で空売りを行う場合、1回あたりの数量が、売買単位の51単元以上であれば、空売りの価格制限の規制の対象となります。(50単元以内のご注文であれば、空売りの価格制限の適用除外となります。)
当社の対応
当社のインターネット取引およびカスタマーサービス経由のご注文にて、1回あたりの数量が、売買単位51単元以上の信用取引の空売りにつきましては、空売り価格制限の対象となる指値注文の場合は、「失効(無効)」とさせていただきます。(訂正注文を含みます。)
また、「成行」・「不出来引け成行」の注文の場合は、注文発注(入力)する事ができません。また、有効期間指定注文のうち、その銘柄が当該有効期間中に売買単位の変更を行った場合、同変更日をもって「失効(無効)」となる場合がありますので、ご注意ください。
- ※お客様が意図的に売買単位の50単元以内に注文を分割して発注し、空売りの価格制限を免れようとする行為は、規制の趣旨に反すると考えられることから適用除外とはみなされません。
- ※当社では、分割発注についてチェックを行い、反復して分割発注を行われたお客様につきましては、信用取引のご利用を停止させていただく場合がありますので、十分にご注意ください。
取引所への空売り残高情報提供義務
- 空売り残高割合(発行済株式総数に対する空売り残高数量の割合)が0.2%以上となる保有者については、証券会社を通じ取引所への空売り残高情報の報告が義務付けられています。
- 空売り残高割合(発行済株式総数に対する空売り残高数量の割合)が0.5%以上となる場合、取引所により空売り残高情報の公表が行われます。
募集または売出しの公表後における空売りについて
平成23年12月からは、公募増資公表後、新株等の発行価格決定までの間に空売りを行った場合には、当該増資(募集・売出し)に応じて取得した新株等により空売りに係る借入れポジションの解消(現渡し)を行ってはならないこととなりましたのでご注意ください。
※他の証券会社で、当該増資(募集・売出し)に応じて取得した新株等を当社に移管入庫して、空売りに係る借入れポジションの解消(現渡し)を行った場合も該当します。
罰則
空売り規制に違反した場合の罰則は、30万円以下の過料です。