インサイダー取引について
会社の内部者情報(インサイダー情報)に接する立場にある会社役員等が、その特別な立場を利用して会社の重要な内部情報を知り、情報が公表される前に、その会社の株を売買することを言います。
このような取引が行われると、一般の投資家との不公平が生じ、証券市場の公正性・健全性が損なわれるおそれがあるため、金融商品取引法において規制されています。
当社では、インサイダー取引の未然防止に努めるため、上場会社等の役職員等に該当されるお客様については、予め内部者(会社関係者)のお届け出・ご登録をお願いしております。
平成26年4月1日施行の金融商品取引法等改正において、投資法人の発行する投資証券等の取引がインサイダー取引規制の対象となりました。対象となる会社関係者の範囲には、上場投資法人(いわゆるJ-REITの発行者)、その資産運用会社及びその資産運用会社の親会社その他の特定関係法人の関係者等が含まれます。
内部者(会社関係者)のお届け出について
以下の区分いずれかに該当されるお客様は、必ず当社に内部者(会社関係者)のお届け出をお願いいたします。お手数ではございますが、「内部者登録届出書」のPDFファイルを印刷して、ご記入・ご捺印のうえ、お送りいただくか、当社カスタマーサービスまで、お申し出ください。
① | 上場会社等の取締役、会計参与、監査役若しくは執行役の方(以下「役員」とします。) |
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② | 上場会社等の親会社又は主な子会社の役員の方 |
③ | 上記、①、②の役員でなくなった後1年以内の方 |
④ | 上場会社等の役員の配偶者及び同居者の方 |
⑤ | 上場会社等の使用人その他の従業員のうち執行役員その他役員に準ずる役職にある方 |
⑥ | 上場会社等の使用人その他の従業員のうち重要事実を知り得る可能性の高い部署に所属する方 |
⑦ | 上場会社等の親会社又は主な子会社の使用人その他の従業員のうち執行役員その他役員に準ずる役職にある方 |
⑧ | 上場会社等の親会社又は主な子会社の使用人その他の従業員のうち重要事実を知り得る可能性の高い部署に所属する方 |
⑨ | 上場会社等の顧問弁護士、会計監査を行う会計士又は許認可権限を有する公務員等の方 |
⑩ | 上場会社等の親会社又は主な子会社 |
⑪ | 上場会社等の主要株主(総株主の議決権の10%以上を保有している株主を言います。) |
⑫ | 上場会社等の大株主(直近の有価証券報告書、半期報告書又は四半期報告書に記載されている大株主をいいます。) |
- ※上場会社等の役員及び主要株主の方で、当該上場会社の発行する株券等の売買を行った場合には、その売買等を行った金融商品取引業者を通じて、翌月15日までに「役員・主要株主売買報告書」を当局に届け出ることとされておりますので、必ず内部者登録のお届け出をお願いいたします。
- ※当社では、原則として、上場会社等に勤務されているお客様については、ご役職を問わず、内部者登録を行わせていただいております。また、日本証券業協会の「J-IRISS」による照合結果や金融商品取引所が提供する「適時開示情報閲覧サービス」による確認により、お客様の内部者登録内容の変更・追加をさせていただく場合がございますので、ご了承ください。
- ※現在のお届け出・ご登録状況は、ログイン後の[お客様情報]画面でご覧いただけます。
インサイダー取引規制の概要
インサイダー取引は、金融商品取引法第166条等により、金融商品市場における不公正取引として禁止されておりますが、法令上の用語を用いて簡単に言い表すと、【上場会社の役職員や大株主などの「会社関係者(及び会社関係者から重要事実の伝達を受けた者=情報受領者)は」、その会社の株価に重大な影響を与える「重要事実を知って」、その重要事実が「公表される前に」、「特定有価証券等の売買等をしてはならない」。】となります。また、インサイダー取引は、個人の犯罪であり、刑事罰の対象にもなりますので、投資者自らが法令などを理解し、規制違反を犯さぬよう十分に注意して、お取引にあたることが必要です。
重要事実とは
重要事実とは、投資者の判断(簡単に言えば、当該会社の株価)に影響をあたえる可能性のある重要な会社情報のことで、具体的には、法令で細かく規定されています。それによれば、重要事実は、「決定事実」・「発生事実」・「決算情報」・「その他」に分類され、さらに、上場会社にかかる重要事実と上場会社の子会社にかかる重要事実に分類されます。
分類 | 重要事実の項目例 | |
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① | 決定事実 | 株式の募集/自己株式の取得/株式分割/業務提携/合併/新製品・技術の企業化 |
② | 発生事実 | 業務遂行の過程で生じた損害 債権者による債務の免除 |
③ | 決算情報 | 業績予想の大幅な修正(売上高/経常利益/当期純利益) 配当予想の大幅な修正 |
④ | その他 | ①~③の他、上場会社の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの |
⑤ | 子会社にかかる重要事実 | ①~④に対応(子会社の情報であっても企業集団全体の経営に大きな影響を与えるものは重要事実) |
※①と②の重要事実の一部及び③の重要事実には、具体的な数値基準が内閣府令上定められています。たとえば、株式分割については、10%以上の増加割合のものだけが重要事実とされます。
重要事実の「公表」とは
上場会社等の未公表の重要事実を知った会社関係者や情報受領者は、その重要事実が「公表」されるまでは、その上場会社の株券等を売買することが禁止されます。重要事実が「公表」された後は、この重要事実に関して会社関係者等のインサイダーと一般投資者との間の情報の不公平等はなくなるため、売買の禁止は解除されることになります。
① | 会社の代表取締役等が、重要事実を、いわゆる一般紙やNHKなど、法令に定められている2つ以上の報道機関に公開してから、12時間の周知期間が経過すること。 |
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② | 上場会社等が上場する金融商品取引所に対して、重要事実を通知し、金融商品取引所において内閣府令で定める電磁的方法により、公衆縦覧に供されること。 |
③ | 重要事実にかかる事項が記載された、有価証券報告書、半期報告書、臨時報告書等が公衆縦覧に供されること。(「EDINET」による公開を含む) |
- ※12時間の周知期間が設けられているのは、①の方法だけです。たとえば、夕方に一般紙に対して情報を公開しても、それが実際に一般投資者の目に触れるのは、翌日の朝刊であるため、このような周知期間が必要とされています。
- ※②の方法では、その情報が、金融商品取引所が提供する「適時開示情報閲覧サービス」に掲載されます。この方法であれば、報道機関への発表と同時に誰でも自由に閲覧できるため、周知期間は必要とされておらず、重要事実の公表方法として広く実務上用いられています。
特定有価証券等の売買等とは
インサイダー取引規制上、禁止されている取引は、「当該上場会社等の特定有価証券等の売買等」とされ、「特定有価証券等」には、株券、社債券、優先出資証券、新株予約権証券のほか、これらの証券にかかるオプション等を表示する、いわゆるカバードワラントや他社株転換条項付社債券などが含まれます。特定有価証券等は、上場会社等が発行する有価証券に限られますが、その有価証券自体の上場・非上場を問うものではありません。たとえば、上場会社が発行する社債や新株予約権付社債については、これらの有価証券自体が上場されていないとしても、「特定有価証券等」に該当し、規制の対象となります。
インサイダー取引規制違反の罰則について
個人がインサイダー取引規制に違反した場合は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科されるか、又は懲役と罰金が併科されます。(金融商品取引法第197条の2第13号)また、法人の代表者や使用人等が、その法人の業務又は財産に関して、インサイダー取引を行った場合には、その行為者を罰するだけでなく、その法人に対しても5億円以下の罰金が科せられます。(金融商品取引法第207条の1第2号)また、刑事罰とはならないものであっても、行政上の措置として課徴金制度が適用された場合には、一定額を課徴金として国庫に納付することが命じられることとなります。
関連情報
不公正取引(相場操縦・インサイダー取引)の防止(日本取引所グループ)