【信用取引コラム 実践編】
第4回 売り銘柄の見つけ方(2)
2014.12.22
極端に売り中心の運用をするヘッジファンドの売り銘柄は、実は参考になりません。「借りる事の出来た銘柄が、即売り銘柄」になるからです。最初から日本株を売ると言う方針の基、株を貸してくれる相手を探し、どんな銘柄でも借りられたらすべて売ります。ですから彼らの銘柄を研究しても意味がありません。
しかし、全然参考にならないかと言うと、買い銘柄を選ぶときに参考になる部分もあります。皆さんが買い銘柄を選ぶ時に、特定株が多く、浮動株比率が小さいから上がり易いと判断する事があると思います。しかし、特定の筋からも株が出て来ます。特に長期保有の機関投資家でも株を貸し出して貸株料を稼ぎます。浮動株が少ないと安心しているとどこからともなく売りがどんどん出てくることがありますから注意が必要ですよ、と言うくらいしか役に立ちません。
普通のファンドは自前の調査網と、信頼する証券会社(主に外資系)のアナリストレポートから選びます。しかし、既に述べたように売り推奨レポートは数が少ないので、売り需要を満たすことができません。そこでたくさんある買い銘柄レポートや企業訪問等で「買い」と決定した企業の「対角線上にある銘柄も売り銘柄にします。裁定取引とも言いますが、今現在の銘柄を例に挙げると「予想」という事になりなすので、分かり易く過去例で言えば、イトーヨーカ堂が良いとなったら不利になるダイエーを空売りすると言うようなものです。
この場合は企業の深堀調査で銘柄を決めますが、単純に同業種でPERが割高に買われ過ぎている銘柄を売り、割安に放置されている銘柄を買うと言う方法を使うヘッジファンドもあります。
割安割高は個別株だけでなく業種間でもあります。また、担当アナリストがカバーしている複数業種の中で買い銘柄とそうでない銘柄を区別する場合もあります。直近では12月10日付けのクレディ・スイス証券のレポートで、アナリスト各自が、「持つべき銘柄」と「避けるべき銘柄」を発表しています。これらは、ヘッジファンドのニーズに合わせた対応だと思います。日系証券も積極的に「持ってはいけない銘柄」を発表すべきだと思いますが・・。
裁定取引はペアトレードと言いますが、多くのファンドが利用しています。個人投資家もどんどん利用して経験を積むべきだと思います。
個別銘柄の売りは、テクニカルで判断する場合も多く見られます。いくつか例を挙げますと、
1. 個別銘柄が25日移動平均との乖離が広がったタイミング。
2. 移動平均中短期線が長期線を下抜ける所謂デッドクロス発生のタイミング。
3. 中期線が横ばいから下降トレンドに入るタイミング
4. 株価が高い位置で出来高減少し始めるタイミング
テクニカルの世界でもペアトレードは、個別株間、業種別間で一般に利用されています。
ファンドのやり方を真似しましょうと言ってきましたが、ファンド運用の基本である「自前の調査網と、信頼できるアナリストレポート」を個人投資家は持っていないとおっしゃるかも知れませんが、立派に持っていらっしゃいますよ。それは、会社四季報・会社情報です。
45年間の業界生活の中での私の実感ですが、10ページ、20ページの法人向け銘柄レポートの結論が、たった半ページの四季報・情報を上回った事など5%もありません。しかも、プロの運用の世界で、自虐的に「理路整然と間違う」と言われるように、膨大な時間とお金をかけて調査した事も、コロコロ間違います。おそらく、立花証券ストックハウスの投資家の皆様で、四季報・情報を手にしたその日は徹夜だと言う方もいらっしゃると思います。それで良いと思います。
結局、個人投資家は四季報・情報をしっかり読み込んで、売り銘柄群と買い銘柄群を区分けして置いて、下げトレンドの吹き値を売り、上げトレンドの押し目を買う、そして、その組み合わせが最強の投資法だと思います。
それは大変な作業です。株式投資の勉強には終わりはありません。今日の相場と明日の相場は同じではないからです。千変万化する事象に勝つには、常に勉強しかありません。
株式投資の必勝法は99%の汗と1%の運です。この信用取引実践編は10回連載です。4回目にして結論に達したかのようですが、実践編はそんな甘いものではありません。奥深くまだまだ勉強しなければなりません。次回も勉強です。
平野 憲一(ひらの けんいち) |
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- 株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の変動に伴い、株価や基準価額が変動することにより、投資元本を割り込み、損失(元本欠損)が生じる恐れがあります。 また、これらにより生じる恐れがある損失の額は、差し入れた保証金(当初元本)を上回る損失が生じる恐れがあります。
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