レバレッジ型・インバース型ETF等への投資に係る注意事項
- ○レバレッジ型・インバース型ETF等は、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品です。
- ○投資経験があまりない個人投資家の方が資産形成のためにこうしたETF等を投資対象とする際には、取引の仕組みや内容を十分理解し、取引に伴うリスク・コストを十分に認識することが重要です。
1.レバレッジ型・インバース型ETF(ETN)について
ETF(Exchange Traded Fund、上場投資信託)は、特定の指数・指標に連動する金融商品です。 ETFは、取引所等で売買ができるため、「取引時間中はいつでも売買できる」、「価格がわかりやすい」といった特徴があります。
注)ETN(Exchange Traded Note)も、特定の指数・指標に連動する金融商品であり、ETFと類似の特徴があります。
従来、ETFやETN(以下、ETF等といいます)は、株価指数等に単純に連動するシンプルな商品が大半でした。
ただし、近年、一ロにETF等といってもレバレッジ指数・インバース指数、海外の指数・指標に連動する商品など、投資経験の少ない個人投資家の方からみると、相対的にリスクが高いETF等や連動する指数・指標がわかりにくいETF等、多種多様なETF等が上場され取引できるようになってきました。
また、コモディティ(商品)先物指数を対象とするETF等については、原資産であるコモディティ価格(現物価格)には1日の値幅制限がない一方、これらのETF等の価格には値幅制限があることから、相場急変時にETF等の価格が原資産の価格と連動しないケースが生じる可能性があります。
2.レバレッジ型・インバース型ETF等に係るリスクとコスト
レバレッジ型・インバース型ETF等は、指数・指標の値動きのレバレッジ倍(又はマイナスのレバレッジ倍)の値動きを日次(1日)で達成するように運用されています。
例えば、日経平均株価の日々の値動きの2倍の値動きを目指すレバレッジ型ETFは、日経平均株価が1%上昇した日には、2%の上昇になることを目指して運用されます。
しかし、日次ではなく2日以上の運用期間で見た場合には、以下の例に示すとおり、当該ETF等の価格は、参照する指数・指標の価格のレバレッジ倍にならない可能性があることに注意が必要です。
注1)なお、中長期の期間をとった場合、一般的に株価は①や②のように上下動を繰り返すことが多く、③や④のように一方向に上昇又は下落が続くケースは少ないと考えられます。
注2)表は例示であり、特定の株価・レバレッジ指数の動きを示すものではありません。
実際のETF等の価格は、信託報酬等のコスト負担や先物市場の値動きにより、1日であったとしても「原資産の2倍」といった運用目標を達成できるとは限りません。
なお、ETF等の市場価格は取引所において需給を反映して決定されるため、市場価格と基準価額やETF等保有資産の純資産価値(インディカティブNAV)はー致しないケースもあることに注意が必要です。
このため、レバレッジ型・インバース型ETF等は主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品であり、投資経験が少ない個人投資家の方が中・長期の資産形成を目的としてレバレッジ型・インバース型ETF等を投資対象とする場合には十分な注意が必要です。
また、レバレッジ型・インバース型ETF等は、参照する指数・指標に連動させるため先物取引を用いた運用を行っています。
このため、一般的にレバレッジ型・インバース型ETF等は先物取引コストを負担しているほか、先物取引の期限(限月)を乗り換える際に、リスクが生じることに注意が必要です。
また、これらのリスク・コストは、ETF等の上場商品に限らず、公募型投資信託で販売されているレバレッジ型・インバース型商品であっても同様です。
こうした金融商品の取引に当たっては、取引の仕組みや内容を十分理解し、取引に伴うリスク・コストを十分に認識したうえで、自己の財産、取引経験及び取引の目的等に照らして適切であると判断する場合にのみ、白己の責任において取引を行ってください。
3.信用取引保証金率の引き上げ
令和5年1月10日(火)に施行される「金融商品取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令」の改正において、レバレッジ型ETF等については、信用取引を行うことにより過大なレバレッジ倍率とならないようレバレッジ型ETF等の信用取引に係る保証金率が引き上げられることとなります。