【資産運用コラム じぶん年金・NISA編】
 第5回 年金型長期投資モデル(最終回)

2015.01.14

第3次安倍内閣がスタートし、2015年相場が始まりました。しかし、この内閣は去年のような何でもやれる内閣ではありません。日本国債が格下げされている時、日本売りにつながる、大胆な金融政策や機動的な財政政策は限界に来ています。頼るのは第3の矢・民間投資を喚起する成長戦略です。1年を通してその成否がマーケットを動かしていくでしょう。

10年、20年の長期見通しは、1年ずつの積み重ねですから、1年間の動きを否定する必要はありません。特に今は失われた20年を取り戻すべく必死でデフレ脱却を図っている政権を、全幅の信頼はおけなくても多くの国民は支持しています。国民と政権が一緒の方向感を持って進んでいるわけですから、成功して欲しいし、成功する可能性もあります。

しかし、政策は時に変わりますから、簡単に政策に資金を乗せるのは年金型長期投資ではリスクがあります。ただし当分変えようのない政策は別です。例えば、国土強靭化計画は1年や2年で終了するような簡単なものではありません。攻めの強靭化どころか、後ろ向きの老朽化した社会インフラの補修工事だけでも、道路、橋梁、下水道と膨大な規模になります。しかも、工事が追い付かないのに、毎年耐久年数を超えた社会インフラが積み上がって行きます。

「建設会社」「道路工事会社」「資材・機械の関連会社」は長期に渡って需要が途絶える事は無いでしょう。これは年金型長期投資に適している銘柄群です。 長期投資の基本は、「現在の延長線上に未来のすべてがある」と言う考えを否定するところから始まります。例えば「規制緩和」は、成功するかどうかは分かりません。規制緩和の注目分野は農業と医療ですが、ビジネスチャンスのある分野として我々は期待していますが、岩盤規制を緩和できるかどうかは分かりません。これらは年金型長期投資には向きません。

縮小していく日本を飛び出して、アジアでの人口増加・所得向上を取り込むことに成功している企業群はその継続性が100%保障されているわけではありませんが、有望企業の発展と年金資金を1部だけリンクさせることは選択肢の一つです。ユニ・チャーム、花王、リンナイ、キッコーマン、医療機器の日本光電工業等です。

さて、最も年金型長期投資に適しているのが労働力不足をカバーする企業群です。前回に50年の長期投資を真面目に考えている筆者の友人の話をしました。今、「50年間の長期投資で有望銘柄を教えてくれ」と言われたら、自信を持って言えます。「日本の趨勢・人口減少から来る労働力不足に乗る銘柄だよ」と書きました。

まず人材派遣各社の業績はほとんどが増収増益です。オリンピック・パラリンピックが過ぎたら流れが変わると言う向きもありますが、業界では逆にそれ以降更に人手不足が激しくなると言われています。オリンピック・パラリンピックまで引きとめた高齢労働者が一斉にリタイアするのに、インフラ整備量は増えるからです。おそらく海外労働者を、秩序良く日本の労働界に組み入れて行く重要な責任を担う業界になると思われます。

さらに恩恵を受けるのが、労働力を作り出す自動化機械業界です。人に代わるマシーンです。広い意味のロボットという事です。代表はもちろん「世界のファナック」ですが、ロボット用精密減速機世界シェア6割のナブテスコも長期に渡って恩恵を受けます。ロボットを建設機械まで広げると、ツガミ、アマダ、アイダエンジニアリング、ソディック、東京自働機械製作所、北越工業、兼松エンジニアリング、日立工機と続きます。セコムも立派な人手不足解消銘柄です。

アマダは利益の100%を株主還元に充てる方針を示し、市場の大きな話題になりました。人口減少・労働力不足と言う日本の趨勢の中で、自社の未来を見据えた結果の資本政策だと思います。

ずっと述べてきた、人口減少から来る日本の社会システムや公的年金の将来への不安。逃れられない未来なら、それを逆手に取って利用する姿勢が必要ではないでしょうか。攻めの個人年金を構築する基礎的能力は、立花証券ストックハウスの皆様は日ごろの株式投資で既に身に着けていらっしゃると思います。ゆとりある老後生活の為にその能力を使ってください。皆様へのエールをもってこのコラムを終わりたいと思います。


平野 憲一(ひらの けんいち)
株一筋40年マーケットアナリスト
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌など出演多数
日本証券アナリスト協会検定会員

~略歴~
1970年   立花証券株式会社入社
2006年   同社執行役員就任
2014年7月 個人事務所 K ASSET 代表マーケットアナリスト就任

ブログ『平野憲一の株のお話』


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